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2015年9月16日 水曜日

「予防」としての矯正治療

今回は虫歯や歯周病予防の観点から矯正治療の価値について考えていきたいと思います。

8020運動に関して以前コラムを書きましたが、8020運動と虫歯、歯周病予防の関係についてです。


おさらいになりますが、8020運動というのは歯科医師会と厚生労働省が1989年より提唱し始めたもので、自分の歯を最低20本は80歳まで残そうという運動です。自分の歯が20本残っていれば、食事にも支障なく、食事を楽しめるということから始まったものです。


実はこの8020運動が始まった当初は、20本自分の歯を残すことに成功している80歳以上の方の割合がたったの8.2%しかいなかったそうです。10人に1人もいないという数字にびっくりしました。20本ないだけでなく、調査対象者を調べてみると平均残存歯数はたったの4.5本。4.5本ということは上下それぞれ2,3本ずつしかないということになりますから、ほぼ自分の歯でものを噛むことはできないですよね。

では8020運動が始まり、少しずつ浸透してきたなかでどこまで改善されてきたかというと、8020運動達成者は38.3%まできたという発表がありました。かなり大きな前進ではないでしょうか。

更に東京医科歯科大学がこの8020運動達成者を対象に調査したところ、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)などの著しい不正咬合のある方はほとんどいないという結果がでたそうです。


この25年ほどの間に歯ブラシや歯磨き粉の改善なども進みましたし、ブラッシングの指導や情報も広がってきていると思います。そのため一概に何が影響して残存歯が多くなったのかを特定することは難しいかもしれません。しかし、きれいな歯並びは、ブラッシングが隅々まで丁寧に出来ることで虫歯や歯周病を防ぐことにつながっているということは十分に考えられることです。

矯正歯科治療はこれまで審美的な理由から考えられることが多かったと思います。見た目の改善はとても大切なことです。しかし同時に最近ではこういった予防の観点や、受け口、出っ歯など咀嚼の機能に関する観点など、より広い意味での「健康」「予防」という視点で矯正治療を受けられる方が増えてきている気がします。


今回の調査結果、実際残存歯が多いという事実は、とても参考になるデータかと思います。1本でも多く自分の歯を残して生涯食事を楽しめる状態でいたいですよね。



投稿者 もも矯正歯科