症例ブログ
2014年10月27日 月曜日
先端技術の矯正用アーチワイヤー
矯正治療を始める前に、多くの患者さんが痛みに関して懸念されています。今回は気にされる方の多い「痛み」に関して矯正材料の観点からコラムを書いてみます。
歯を動かすにはブラケットと呼ばれる矯正装置を歯に付けます。そしてブラケットにアーチワイヤーを通します。ブラケットとワイヤーをゴムや結紮線(細い針金のようなもの)で固定するやり方と、シャッター構造のブラケットを使用するセルフライゲーションと呼ばれるやり方があります。セルフライゲーションは以前デーモンシステムの紹介で説明しましたが、ブラケットとワイヤーを強く抑えることがないため、弱い力で治療を進めることが出来ます。
アーチワイヤーは並んだ歯列の形をした形状記憶金属の為、凸凹に並んでいる歯は元に戻ろうとするアーチワイヤーに引っ張られて並んでいきます。
これが矯正治療の基本的な歯の並べ方ですが、今日はこのアーチワイヤーに少し注目していきたいと思います。
一昔前まではこのワイヤーがステンレススチールで出来ていたため、かなり強い力が歯に加わっていました。また、技術的にも細くすることが難しく、どうしても痛みを伴う治療になっていました。材質的にも、技術的にもどうしても力が強く加わってしまうため、矯正治療は痛いというイメージにつながりました。
近年になり材質的にナイタイと呼ばれるチタンとニオビウム合金の材質が産まれました。これはNASAなど宇宙工学の分野で発達した金属で、形状記憶のレベルはもちろん、とても弱い力で元に戻ろうとする性質があります。
これを技術的に約0.3mm近くまで細くしたのが最新の矯正治療に使われるようになりました。もも矯正歯科で使用しているワイヤーは0.013インチあるいは0.014インチから治療が始まりますので、約0.33~0.36mmという細さです。
矯正治療は弱い力でも十分に治せるばかりか、安全に歯根吸収のリスクを減らすことも分かってきています。
矯正治療は最低限の力を加えることで歯が動いていく為、全く痛みや違和感がなく治療をすることは出来ませんが、少なくとも昔と比べてはるかに患者さんにとって快適に治療をすることが出来るようになりました。
矯正専門医としてのスキルももちろんですが、今回書きましたように材料の面からも日々進化しています。
矯正医院に行った際にどういった矯正材料を使っているか聞くというのも面白いかもしれませんね。
歯を動かすにはブラケットと呼ばれる矯正装置を歯に付けます。そしてブラケットにアーチワイヤーを通します。ブラケットとワイヤーをゴムや結紮線(細い針金のようなもの)で固定するやり方と、シャッター構造のブラケットを使用するセルフライゲーションと呼ばれるやり方があります。セルフライゲーションは以前デーモンシステムの紹介で説明しましたが、ブラケットとワイヤーを強く抑えることがないため、弱い力で治療を進めることが出来ます。
アーチワイヤーは並んだ歯列の形をした形状記憶金属の為、凸凹に並んでいる歯は元に戻ろうとするアーチワイヤーに引っ張られて並んでいきます。
これが矯正治療の基本的な歯の並べ方ですが、今日はこのアーチワイヤーに少し注目していきたいと思います。
一昔前まではこのワイヤーがステンレススチールで出来ていたため、かなり強い力が歯に加わっていました。また、技術的にも細くすることが難しく、どうしても痛みを伴う治療になっていました。材質的にも、技術的にもどうしても力が強く加わってしまうため、矯正治療は痛いというイメージにつながりました。
近年になり材質的にナイタイと呼ばれるチタンとニオビウム合金の材質が産まれました。これはNASAなど宇宙工学の分野で発達した金属で、形状記憶のレベルはもちろん、とても弱い力で元に戻ろうとする性質があります。
これを技術的に約0.3mm近くまで細くしたのが最新の矯正治療に使われるようになりました。もも矯正歯科で使用しているワイヤーは0.013インチあるいは0.014インチから治療が始まりますので、約0.33~0.36mmという細さです。
矯正治療は弱い力でも十分に治せるばかりか、安全に歯根吸収のリスクを減らすことも分かってきています。
矯正治療は最低限の力を加えることで歯が動いていく為、全く痛みや違和感がなく治療をすることは出来ませんが、少なくとも昔と比べてはるかに患者さんにとって快適に治療をすることが出来るようになりました。
矯正専門医としてのスキルももちろんですが、今回書きましたように材料の面からも日々進化しています。
矯正医院に行った際にどういった矯正材料を使っているか聞くというのも面白いかもしれませんね。
投稿者 もも矯正歯科 | 記事URL
2014年10月18日 土曜日
抜歯矯正と非抜歯矯正
歯を抜かずに矯正を受けたいという患者さんが多くいらっしゃいます。最近はこういった患者さんの要望から「100%非抜歯」「絶対抜きません」というコピーで宣伝されている歯科医院さん、矯正専門医院さんも増えてきています。
本来自然に歯は生えてきているわけですから、それを人工的に抜くというのは体への負担を考えると確かに不安を感じてしまいます。
しかし、患者さんによっては非抜歯でなく、抜歯にした方が歯列の安定につながる場合もあったりします。矯正の様々な学会で矯正専門医の中でたびたび議論になり、未だに結論が出ていない難しいテーマでもあったりします。
近年食が欧米化したことにより、顎の発達が進まず、歯の並ぶスペースが確保できていないという患者さんが増えてきています。子供のうちから顎の成長をサポートすればスペースを作り易かったりしますが、大人の矯正の場合歯列を広げられるには限界があります。見た目のみを並べて綺麗にすることが出来たとしても、歯根(歯茎内の歯の根っこ)に負担がかかり、歯根吸収(歯の根っこが溶けて細くなる、あるいは無くなる)のリスクや歯が前や外側に拡がることで歯槽骨の支持が弱くなり、歯肉退縮(歯ぐきが下に下がって根っこが露出すること)するリスクがでてきてしまう場合があります。そうなると一見非抜歯の矯正治療に成功したように見えても数年経つと元に戻る、あるいは最悪の場合歯が抜けてしまうこともあります。
だからといってむやみに抜歯してしまうのも問題です。「他の歯科医院で抜歯と言われました」とセカンドオピニオンとして、もも矯正歯科に来られる患者さんも多々いらっしゃいます。診断の結果非抜歯で治療が出来る場合も数え切れないほどあります。
ではどういった場合に非抜歯矯正が出来るのかと言うと、上にも書きましたが、スペースをキッチリと確保出来る場合です。もも矯正歯科で使っているデイモンシステムは、歯列を患者さんの筋肉のバランスの中で比較的広く歯列を並べていくことが出来る矯正治療法です。「デイモンシステムだから非抜歯」ということは決して言いきれませんし、患者さんによっては別のブラケットを選択した方が良い場合もあります。裏側矯正のように見えないで治療をしたいという要望に応える場合もあります。あくまで大切なのは患者さんごとに正確な診断をして、歯根など見えていない部分を考慮に入れて治療をすること、そして長く安定していくことを最優先に考えていくことだと思っています。
本来自然に歯は生えてきているわけですから、それを人工的に抜くというのは体への負担を考えると確かに不安を感じてしまいます。
しかし、患者さんによっては非抜歯でなく、抜歯にした方が歯列の安定につながる場合もあったりします。矯正の様々な学会で矯正専門医の中でたびたび議論になり、未だに結論が出ていない難しいテーマでもあったりします。
近年食が欧米化したことにより、顎の発達が進まず、歯の並ぶスペースが確保できていないという患者さんが増えてきています。子供のうちから顎の成長をサポートすればスペースを作り易かったりしますが、大人の矯正の場合歯列を広げられるには限界があります。見た目のみを並べて綺麗にすることが出来たとしても、歯根(歯茎内の歯の根っこ)に負担がかかり、歯根吸収(歯の根っこが溶けて細くなる、あるいは無くなる)のリスクや歯が前や外側に拡がることで歯槽骨の支持が弱くなり、歯肉退縮(歯ぐきが下に下がって根っこが露出すること)するリスクがでてきてしまう場合があります。そうなると一見非抜歯の矯正治療に成功したように見えても数年経つと元に戻る、あるいは最悪の場合歯が抜けてしまうこともあります。
だからといってむやみに抜歯してしまうのも問題です。「他の歯科医院で抜歯と言われました」とセカンドオピニオンとして、もも矯正歯科に来られる患者さんも多々いらっしゃいます。診断の結果非抜歯で治療が出来る場合も数え切れないほどあります。
ではどういった場合に非抜歯矯正が出来るのかと言うと、上にも書きましたが、スペースをキッチリと確保出来る場合です。もも矯正歯科で使っているデイモンシステムは、歯列を患者さんの筋肉のバランスの中で比較的広く歯列を並べていくことが出来る矯正治療法です。「デイモンシステムだから非抜歯」ということは決して言いきれませんし、患者さんによっては別のブラケットを選択した方が良い場合もあります。裏側矯正のように見えないで治療をしたいという要望に応える場合もあります。あくまで大切なのは患者さんごとに正確な診断をして、歯根など見えていない部分を考慮に入れて治療をすること、そして長く安定していくことを最優先に考えていくことだと思っています。
投稿者 もも矯正歯科 | 記事URL
2014年10月11日 土曜日
大人になっても矯正出来るか?
矯正をする時期というのは、子供の内の方が良いという話をよく聞きます。子供の内に矯正をすると、顎の成長を促しながらの治療が出来る為、抜歯の可能性を下げることが出来るというメリットはあります。
しかし、大人になってからでは手遅れかと言うとそういうわけでもありません。今回のコラムでは、大人でも十分に矯正が出来ますということをメッセージしておきたいと思います。
大人になっても矯正治療が出来ると言えるのは、歯が動く仕組みを考えるとわかってきます。
矯正治療は、ブラケットという歯に付けた矯正器具に金属のワイヤーを繋げて、ワイヤーの力を利用して治していきます。弱い持続的な力を歯に加えると、歯茎の中で骨の吸収と再生というものを繰り返し、移動していきます。
歯茎の中に埋まっている部分を歯根と言いますが、この歯根の周りには歯根膜という組織があり、これに力が加わると"破骨細胞(ハコツサイボウ)"という細胞が歯根を吸収していきます。同時に引っ張られた逆側には"骨芽細胞(コツガサイボウ)"という細胞が新しい骨を生み出します。
上の図で説明すると、右側に引っ張る力が加わると、歯根の右側が"吸収"されます。同時に歯根の左側は"再生"されて動いていきます。
つまり矯正はこの"吸収"と"再生"を繰り返して並んでいくという仕組みになっています。
今回のテーマであります、大人でも矯正治療は問題ないというのは、この"吸収"と"再生"が出来る限りは矯正治療をすることが出来ると考えられているからです。子供と比べて大人の方が代謝は落ちますが、歯槽骨の仕組みが残っていれば問題なく歯を動かすことが出来ます。
当院では、60、70代の患者さんもいらっしゃいます。皆さん、相談時には矯正出来ることに驚かれますが、歯の移動の仕組みに納得し、安心して治療をされています。
もうこの歳だから・・・、とお悩みの方も一度ご相談にいらして下さい。
しかし、大人になってからでは手遅れかと言うとそういうわけでもありません。今回のコラムでは、大人でも十分に矯正が出来ますということをメッセージしておきたいと思います。
大人になっても矯正治療が出来ると言えるのは、歯が動く仕組みを考えるとわかってきます。
矯正治療は、ブラケットという歯に付けた矯正器具に金属のワイヤーを繋げて、ワイヤーの力を利用して治していきます。弱い持続的な力を歯に加えると、歯茎の中で骨の吸収と再生というものを繰り返し、移動していきます。
歯茎の中に埋まっている部分を歯根と言いますが、この歯根の周りには歯根膜という組織があり、これに力が加わると"破骨細胞(ハコツサイボウ)"という細胞が歯根を吸収していきます。同時に引っ張られた逆側には"骨芽細胞(コツガサイボウ)"という細胞が新しい骨を生み出します。
上の図で説明すると、右側に引っ張る力が加わると、歯根の右側が"吸収"されます。同時に歯根の左側は"再生"されて動いていきます。
つまり矯正はこの"吸収"と"再生"を繰り返して並んでいくという仕組みになっています。
今回のテーマであります、大人でも矯正治療は問題ないというのは、この"吸収"と"再生"が出来る限りは矯正治療をすることが出来ると考えられているからです。子供と比べて大人の方が代謝は落ちますが、歯槽骨の仕組みが残っていれば問題なく歯を動かすことが出来ます。
当院では、60、70代の患者さんもいらっしゃいます。皆さん、相談時には矯正出来ることに驚かれますが、歯の移動の仕組みに納得し、安心して治療をされています。
もうこの歳だから・・・、とお悩みの方も一度ご相談にいらして下さい。
投稿者 もも矯正歯科 | 記事URL
2014年10月 1日 水曜日
人生の節目の矯正治療/ブライダル矯正
こんにちは。今回は人生の節目と矯正治療に関して書いてみようと思います。
近年「ブライダル矯正」という言葉を耳にするようになりました。ブライダル矯正というのは、最高の笑顔で結婚式を迎えられるよう、短期間で前歯部の叢生、デコボコを治すという矯正治療のことを言うようです。(医学的な単語ではありません)
一生に一度の結婚式の写真に最高の笑顔を残したいという方の気持ちはとてもよくわかります。
このように人生の節目で矯正治療をされる方が増えてきているという実感もあります。結婚式だけでなく、就職活動の前に歯並びを治しておきたいという学生さんもいらっしゃったりします。
ブライダル矯正や、就活矯正(?)は短期間で矯正治療を行うということをうたっているところが多くありますが、矯正治療を数カ月だけで終わらせているわけではありません。むしろ数カ月だけの治療では矯正治療を終わらせることは難しいのが実際だと思います。本当に少しの叢生を治すのなら可能かもしれませんが、顎の関節から大臼歯までの矯正治療をするとなると、たった数カ月だけの治療では治せません。
ではブライダル矯正のように時間が限られている場合はどうしていくかというと、一番目立つ前歯を中心にデコボコをキレイに並べます。ここまでなら数ヵ月である程度まで揃えことは出来ます。(患者さんの状態によりますので必ず確認するようにしてください)
キレイに並んだ状態で結婚式を迎えますが、その際には歯に付けたブラケットとワイヤーはいったん外します。結婚式が終わってから咬み合わせを含めた治療の続きを通常通りするという流れです。(もも矯正歯科では裏側矯正も対応出来ますので、舌側に矯正装置をつけたまま結婚式を迎えることも出来ます。)
つまり、「ブライダル矯正」という言葉が先行していますが、実際は結婚式までにある程度並べて、式を迎え、式が終わってからしっかりと矯正治療を終わらせるというものです。
結婚式前にしても、就職活動前にしても、それをキッカケに矯正治療を始める方が増えてきているのは事実だと思います。元々歯並びを気にされていていたけれど、矯正治療を開始するキッカケがなかったという患者さんが多くいます。結婚式など期日が決まっている場合は、出来るだけ早い段階で治療を開始した方が無理のない治療をすることが出来ますので、矯正治療をするしないに関わらず一度診断を受けてみるのもお勧めです。
人生の節目に最高の笑顔を見せられるお手伝いをさせて頂ければ幸いです。
近年「ブライダル矯正」という言葉を耳にするようになりました。ブライダル矯正というのは、最高の笑顔で結婚式を迎えられるよう、短期間で前歯部の叢生、デコボコを治すという矯正治療のことを言うようです。(医学的な単語ではありません)
一生に一度の結婚式の写真に最高の笑顔を残したいという方の気持ちはとてもよくわかります。
このように人生の節目で矯正治療をされる方が増えてきているという実感もあります。結婚式だけでなく、就職活動の前に歯並びを治しておきたいという学生さんもいらっしゃったりします。
ブライダル矯正や、就活矯正(?)は短期間で矯正治療を行うということをうたっているところが多くありますが、矯正治療を数カ月だけで終わらせているわけではありません。むしろ数カ月だけの治療では矯正治療を終わらせることは難しいのが実際だと思います。本当に少しの叢生を治すのなら可能かもしれませんが、顎の関節から大臼歯までの矯正治療をするとなると、たった数カ月だけの治療では治せません。
ではブライダル矯正のように時間が限られている場合はどうしていくかというと、一番目立つ前歯を中心にデコボコをキレイに並べます。ここまでなら数ヵ月である程度まで揃えことは出来ます。(患者さんの状態によりますので必ず確認するようにしてください)
キレイに並んだ状態で結婚式を迎えますが、その際には歯に付けたブラケットとワイヤーはいったん外します。結婚式が終わってから咬み合わせを含めた治療の続きを通常通りするという流れです。(もも矯正歯科では裏側矯正も対応出来ますので、舌側に矯正装置をつけたまま結婚式を迎えることも出来ます。)
つまり、「ブライダル矯正」という言葉が先行していますが、実際は結婚式までにある程度並べて、式を迎え、式が終わってからしっかりと矯正治療を終わらせるというものです。
結婚式前にしても、就職活動前にしても、それをキッカケに矯正治療を始める方が増えてきているのは事実だと思います。元々歯並びを気にされていていたけれど、矯正治療を開始するキッカケがなかったという患者さんが多くいます。結婚式など期日が決まっている場合は、出来るだけ早い段階で治療を開始した方が無理のない治療をすることが出来ますので、矯正治療をするしないに関わらず一度診断を受けてみるのもお勧めです。
人生の節目に最高の笑顔を見せられるお手伝いをさせて頂ければ幸いです。
投稿者 もも矯正歯科 | 記事URL